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採用面接における「30個質問」は効果的

15年間も会社を経営していると、社員の採用面接も数多く経験することになります。

経験者ならお分かりいただけると思いますが、面接って本当に難しいですよね?

「志望動機は何ですか?」
「これまで成し遂げた最大の成果について語ってください」

といったありきたりのことを浅いレベルで聞くだけでは応募者の本当の姿は見えてきません。

相手は当然、最高の自分を演じようとしてくるわけですから。

だからこそ当社もこれまで、あの手この手を駆使して応募者を理解する工夫をしてきました。

たとえば、あるテーマのもとで提案プレゼンテーションをしてもらう、お題を与えてディベートをしてみる等々。

そんななか、今回新しく試したものがあります。

それは、応募者が3次面接に臨むにあたって「当社への質問を30個考え、持参してもらう」というもの。

やってみて思った以上の効果を感じることができました。

どうやって「30個質問」に辿り着いたのか?

我々は採用する人材の質に関して、一切の妥協はしないという方針を15年間貫いてきました。

メンバー全員が一点の曇りもなく「この人と一緒に仕事がしたい!」と思える人に出会えるまで探し続けると決めています。

その人の能力・スキルを見るのはもちろんですが、より一層重視しているものがあります。

それは、マーキュリッチの理念や考え方に共鳴してくれる人材であること。

なぜなら根本の価値観にズレがあれば、最終的にミスマッチを起こし、不幸な結末に至るからです。

ちなみに、当社ではその価値観・考え方を「マーキュリッチ・スタンダード」という名の元、明確に打ち出しています。

この「価値観」と「能力」の両方を『面接』という限られた時間と場面において、掴むための工夫の1つが「30個質問」だったのです。

「30個質問」によってその人の視野、視点を垣間見ることができる

面接では「こちらが聞いて、応募者が答える」という形が一般的です。

だからこそ逆に「向こうに質問をさせる」ことで『価値観』や『能力』を推し量ることができないかと考えたのです。

これが単に「質問を考えて来てください」というものだったら、さほどの効果はないと思います。応募者からすると自分が入社したいと思う会社だから、ある程度の質問は思いつきます。

ただし「30個」なると話は別。

質問をひねり出すために必死に考えを巡らせないといけなくなる。急に難易度が大きく上がります。

そのときに、その人の「らしさ」が出ると考えたのです。

どんな視野、視点で日々仕事に向き合っているかがわかります。

応募者側にもメリットがある

この「30個質問」は、応募者側にとってもメリットが小さくありません。

全く新しい環境に身を置くのは誰だって不安が多いものです。できればそれらを解消してから入社の判断をしたいのは本音でしょう。

だからと言って、面接の場でそれらをたくさんぶつけるわけにはいきません。

そこで「無理やり」出させることで、応募者の不安解消ニーズに応えてあげようと思ったのです。

予想していなかった副産物があった

実際やってみるとほぼ狙い通りでした。

双方とも深いレベルで理解しあった上で、入社決定に至ることができたと思います。

それに加えて、予想していなかった副産物もありました。自分や自社において「オイシイ」点が結構見つかったのです。

1つは、相手に質問されることで私自身の考えが深まったり、整理されたことです。

例えば

「西野さんはどのようなタイミングでご自身の成長をレビューしていますか?」
「西野さんの人生の『師』についてお教えいただけますか?」

といった質問。

もちろん、私なりの答えは持っていました。

ただし、改めて深く考えることで、今まで気づいてなかった観点が見つかったのです。

「そうか、このタイミングでもほぼ無意識にレビューをしているんだな?」とか
「この領域に関していうと、よく考えたらこの人も『師』と呼べるよね?」といった自分について新たな発見があったのは収穫でした。

自社の魅力を伝えるプレゼントークのヒントまでもたらしてくれた

もう1つの副産物は、自社の魅力を伝えるプレゼントークを磨くためのヒントをくれたことです。

自社についてたくさんの質問を受けることで、「応募者がどういう点に関心を持っているか?」について改めて気づくことができました。

例えば「物理的にコミュニケーションを頻繁に取れない状況で、どのようにチームワークを維持し、向上しているのか?」といった質問。

確かに、当社は社長、副社長が講師として飛び回っていることもあり、多くのコミュニケーションがリモートでなされるという特殊な事情があります。

だから上記の質問は応募者からすると聞きたいポイントなわけです。

そういった応募者が気になっている不安や疑問を把握し、それに対する答えを自社プレゼンの中に盛り込むするようにすると、聴き手に刺さるトークにすることができます。

私はいつもプレゼン研修の際に「良いプレゼンをするためには聴き手を深く理解することが大事です」とお話ししていますが、まさに今回応募者に30個質問をしてもらうことによって、彼らの興味関心のポイントを深く理解することができたと思います。

知見を深めてくれる貴重な経験

これまで採用活動についていろんな工夫をしてきたつもりでしたが、まだまだできることがあるんですね。

そしてそういった新たな取り組みが新たな学び、気づきにもつながります。

過密スケジュールのなか採用活動を行うことは相当大変でしたが、十分に大きな見返りがあったと実感しています。

今回の一連の活動を通じて、採用コミュニケーションの知見を深め、ノウハウを蓄積できました。

今後何らかの機会を見つけてお披露目したいと考えています。