温故知新のススメ

最近「やっぱり温故知新って大切だなあ」と思うことがよくあります。

そこで今回は、私なりの「温故知新のススメ」についてお話ししたいと思います。

「温故知新」の意味を『広辞苑』で調べてみると、次のように書かれています。「昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること」

「温故知新」は、もともとは孔子の言葉です。

「過去の歴史をしっかりと勉強して、物事の本質を知ることができるようになれば、師としてやっていける人物になる」という意味で、孔子はこの言葉を使ったようです。

ただし私のいう「温故知新」は、そんなに大袈裟なものではありません。「自分が昔読んだ本や書いた文章をもう一回読み直すと、新しい発見がありますよ」というぐらいの意味で、この言葉を使いたいと思います。

昔読んだ本を改めて読んでみると

先日、ある知り合いの方にお会いしたとき、こんなことを言われました。

「この前、久しぶりに西野さんの本を再読したのですが、新たな気づきがいろいろとありました。あらためて『良い本だな』と思いました」と。私の本の内容は、当然なんら変わっていません。けれども読んだ人は、以前とは違った読後感を持ったわけです。

こういうことってよくありますよね。

人間はどんどん成長や変化をしていますから、時間が経つと、同じものに対してでも、以前とは違う見方や印象を抱くことがあるのです。
たとえば営業マンでも、新人のときに営業スキルについて書かれた本を読んだときと、経験を積んでから読んだときとでは、同じ本だったとしても、読みの深さはまったく違うものとなります。

ですからお気に入りの本は、何度も何度も読み返すことが大切。そのたびに何かしらの発見があります。

ちなみにあるコンサルタントの方は、自分のお気に入りの本を、ナレーターに読んでもらってオーディオブックにし、何十回、何百回と聴いているそうです。それでもその都度発見があり、まったく飽きることがないといいます。

実は私は、自分自身の著書についても時々読み返しています。

自分で書いた本でありながら、これが結構おもしろくて、一度読み始めると最後まで読み通すことが少なくありません。「そうか、自分はこういうことを大切にしているんだな」という再確認の機会になるからです。

また私の場合、企画関係の社内ミーティングをするときには必ず録音するようにしているのですが、これも時々聴き直すようにしています。

また過去のノートを読み返すことも習慣化しています。過去の録音を聴き直したり、ノートを読み直すと、新しい「アイデア」や「気づき」が生まれることがすごく多いんですね。

過去に考えていたこと(過去の情報)と、今考えていること(今の情報)が結びついて化学反応を起こし、新たな発想が湧きあがってくる。

そんな感じになるのです。

昔読んだ本や書いた文章が、本棚や机の中で眠っているのは、とてももったいないことだと思います。

みなさんもぜひ「温故知新」を実践されてみてはいかがでしょうか。